the hakata rock & photo magazine BEATMAKS #3
☆☆長い眠りから目醒め☆今よみがえった天性のロックン・ローラー☆山部善次郎☆☆
Revenge of YANAZEN !!
− 山善の逆襲 −
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 気温は連日30℃を越え、少年少女達の夏休みは半ばに入り、まさに夏本番!!という8月5日、福岡スポーツセンターでは、地元の人気15バンドが一同に介して、「ジャンピング・ジャム」が盛大に行われていた。
 昼の12時過ぎに一発目の音が会場に響いてから、4〜5時間もたった頃だろうか。フルノイズの出演時間が来ていたが、サミー津田(b)がまだ会場に到着していない!というので、ステージ上ではマサル(vo)とルーク寺島(g)がとりあえず時間を埋めるため何曲かのブルースを、待ちかねた客に披露。まだメンバーは揃わない。再び会場がざわめき始めた、その時だった。
 イキナリ一人の男がステージ右方から現れたかと思うと、マサルと一言二言か交した後、彼が下げていた生ギターを奪い取って、マイクの前に立ったのである。
 夏の真っ盛りにもかかわらず黒の皮ジャン、すり切れ寸前のブルー・ジーンズに黒のブーツ。ブロンドに染められた三分刈りの頭とミラーのサングラスだけが、窓に取り付けられた暗幕から洩れる光を受け異様な輝きを見せている。
 「照明の係の人、スポットばお願いします。」突然の事でだろうか、なかなかスポット・ライトがつかない。「おーいスポット!」まだつかない。「照明係!!スポットば当てちゃれて言いよろうが!!それでもプロや!!バンド側はみんな命ばはって演りようとぜ!!キサマ、ナメとうとや!?」......一瞬静まり返る会場。なおも男は激叫する。「そっちもプロなら命ばはって演らんか!!」「いいぞ!!」と声が上がる。やっとスポットがこの男を照らすと「それでいいったい。」とミディアム・テンポのロックン・ロールを歌い(叫び)始めた。「いいぞ」「やれ!やれ!」このハプニングで騒然としていた観客は何が何だかわからないまま、やがてこの男の歌に合わせて手拍子を鳴らし出した。
 ある者は「博多の狂気」と、またある者は「博多最後のロックン・ローラー」と呼ぶこの男こそ、山善こと山部善次郎なのである。

 各バンドの時間配分のことなどあり、山善は“Get Back” 他2曲くらい演って一応退場したが、トリのアクシデンツの演奏中またまたイキナリ現われ、客席に水はぶちまけるわ、ボーカルのスマイリー原島にも頭から水をブッかけるわ、ステージは走り回るわ、もう大騒ぎ!!そしてアクシデンツのステージが終わってからもその場にとどまり、マイク片手に楽屋にいる各メンバーを呼び出し始める。どうやらジャム・セッション大会か?
 「オーイ、穴井!!」アクシデンツの穴井仁吉がベースをかかえ再び登場。「ゴジラ、ニャンニャン、コーラスばしいや。エミちゃんも!」あらら、あれは元ヒップスの大田黒恵美!再度再度のハプニングに、客はただただ呆れるばかり。ギターは?なかなか決まんない様だが......突如山善、客席に向かって「誰かギター弾ける奴!」「俺、弾ける。」こりゃ驚いた!!客席の中から一人の少年が出てきてステージに登っている!沸き上がる声援。ドラム・セットの向こうには、いつの間にか泥酔した謎の人物が不敵な微笑を浮かべ座っている。あれは確か......まあいい、と。

 「よーしッ、ホンキー・トンク・ウィメンいくぜッ!キーはGね!」これまたイキナリ曲目決定、打ち合わせも何もあったもんじゃない!!おっと山善、先程のギター少年に何か尋ねている。
「お前、この曲弾けるとや?」「知らん。」「知らん?あーよかよか、大体わかろうが。」何と!!ギターのリフで始まる曲だと言うのに何てこった!!ステージ上は各者入り乱れての大混乱戦で......あっスマイリー原島バケツを登場しま、わあっ!!ここまで水が!!何なんだこれは......。
 という風なハチャメチャなジャムをなんとか終えた頃には客も大喜び。中には服をびしょ濡れにされ激怒していた女の子もいた様だが。
この日、真の意味で一番の盛り上がりを見せたこのステージを皮切りに、山善の逆襲は始まったのである!!












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<原本発行 1984年10月20日/復刻初版 1998年8月21日/改訂二版 2000年12月30日>
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