the hakata rock & photo magazine BEATMAKS #3
☆☆長い眠りから目醒め☆今よみがえった天性のロックン・ローラー☆山部善次郎☆☆
Revenge of YANAZEN !!
− 山善の逆襲 −
From HAKATA with Love & Peace since 1981
 車中の様子は写真で見ていただくとして(これがまた爆笑の渦だった)、とにかくフチガミ・レコーディング・スタジオに到着。ところが18時間予約していたつもりが、最終確認を入れなかったとかで、結局午前5時から午後10時までということになってしまった。
「山善、どうするとや?俺夕方に用事があるけん帰るぜ。」「やかましっ!!」「曲も構成もなーんも知らんぜ、俺。」「よか!!そのうち教えちゃあ。」「そうも行かんやろうが!スタジオの人にも段取りば伝えな出来んやろうが。」万事この調子だ。この待ち時間にも突如海水パンツ一丁になって水をかぶって走り回るわ、植木の枝は折りそうになるわ、もーう大変!!
 ようやく時間が来て、途中から加勢しに来たメンバーなどと一緒にスタジオ入り。この場に及んでようやく構成を決め始める。しかしこういう時の彼の集中力には脱帽してしまう。ペンを握って構成表を書く彼の回りには、エクトプラズマじゃあないが、得体の知れぬエネルギーが渦を巻いているように感じる。
「50曲とか言わんで、時間も余りないし、3〜4曲に絞った方がよかよ。」というメンバーの意見にようやく納得した彼は、頭の中にあるストック50曲の中からこれぞという曲を選び出し、次々と紙に書きおろしてゆく。
 いよいよ「録音中」の赤ランプがついた。一曲目はR & B 色の濃いシャッフルのナンバー「あいつはヤバイぜ」 基本部分は一発録りだ。さすが長年活動している強者達だけに、リハも一回でO K。録音も3テイクめでO K。二曲目は山善得意のミディアム・テンポの曲「ヘイ・ヘイ・ストップ」山善自らリズム・ギターをとる。リハ終了後スタジオに現われたのがあの穴井貴恵子。 「貴恵子ちゃん、リードばとっちゃってん。」「えーっ、構成とかどうなってんですか!?」「よかよか。キーは A ね。ほら、いくよ!!ワン、ツー......。」「えーっ!?」と、ワケワカラン状態でイキナリ( しかし山善のことを書いてると、「イキナリ」とか「突然」 とかが多いな )リードを任せられた穴井は、それでも充分サマになる演奏を聴かせる、それが終わると歌入れ。山善一人スタジオに入る。「照明を切って下さい。」真暗な中で一人、全身全霊を込めシャウトする山善。『無理をしてるんだネ My girl friend そんなに俺をこまらせたいの?』
 スゴイ迫力だ。録音を終えてミキサー室に入ってきた彼に大きな歓声と拍手。「ピシャーリッ!」 
 一応今までの録音を聴いてみる。誰かがそれに合わせて手拍子をとっている。「おっ!それいいね!それ行こう!みんなスタジオに入っちゃりやい。」次から次へハプニングの連続。まるでローリング・ストーンズのレコーディングみたいだ。さて最後はコーラス入れ。「女性コーラスば入れる。」「そんなこと言うても貴恵ちゃんしかおらんぜ。」「おーい、そこの受付の人!!」こうしてスタジオの女子職員やその友人まで動員して、コーラス録りも無事終了。いつの間にか外は雨が降っている...と思った時、大型のバスが敷地内に入って来た!「うわ、こりゃ本物のバスやない。」なんと帰りのバスまでちゃんと予約してあったのだ。

 ところが山善のゴリ押しダメ押しやりっぱなしのレコーディングに、メンバー全員疲れ果てたのか、「帰りまで一緒じゃかなわん。」と、途中から来たメンバーの車にムリヤリ同乗する者、迎えの車やバイクで帰る者と、あっという間に全員消え去ってしまった。結局60人乗りの大型貨切りバスに、山部善次郎ただ一人乗って帰って行ったのである。バスの中でいったい何があったのか、運転手さんにゼヒ聞いてみたいもんだ。最終的には録音したのは2曲だったが、ともあれ 「音がテープとして残っただけでもスゴイ。」(あるメンバー談)ということで、長い一日は終わったのである。しかし山善、2曲とは言え録音出来た事に満足した途端彼自身もグッタリ来たらしく、なんとマスター・テープも持たずに帰ってしまったのである。キーボードで参加した Captain Hard Rock がそれを見つけ、「おい、どうするつもりかいなこのテープ!?しょうがねえなあ...」と、なぜか彼がマスターテープを持って帰るというハメになったのである。

 次に出現したのが久留米。8月24日、ザ・モッズのギグ終了後の市民会館楽屋である。福岡市立警固中の一年後輩である森山達也とは旧知の仲なのだ。「森山、ちょっとこれば聴いちゃってん!」 とカセットにおとした「ヘイ・ヘイ・ストップ」 を大音量ボリウム10で鳴らし始めた。ところがダビングの方法が悪かったのか、えらくスピードが速い。「山部さん何ですか、こりゃ録音がオカシかない?」「やかましっ!!だまって聴け!!」 
 とまあこういう具合で、神出鬼没の山部善次郎の足どりを細かく追っていたのでは、とてもじゃないが2ページじゃあ足りない。それどころかむこう3年は軽く「山善特集」だけで電話帳みたいな月刊誌だって出せてしまうだろう。この後9月9日には天神ベスト電器本店屋上で、実に数年ぶりの本格的なライブを行なったが、その模様は今回号のレビュー欄を見て欲しい。その時の演奏曲は全てストーンズや他のカバーだったが、「俺のオリジナル!?まあだまだ人に聴かせるとはもったいなか!レコードが出るまで待っときやい!!」とのことだ。
 狂人か!?はたまた地上最強のロックンローラーか!?できることなら「冬眠」の前になんとかレコード発売!?まで行って欲しいものだ。ともかく山部善次郎、今年いっぱいの彼の動向がヒジョーにキョーミ深い。


(取材&構成/田原一晃)












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<原本発行 1984年10月20日/復刻初版 1998年8月21日/改訂二版 2000年12月30日>
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