the hakata rock & photo magazine BEATMAKS #9
今またギタリストとしてのボルテージが
高まってきてるんですよ。
■ 土屋昌巳 interview ■
From HAKATA with Love & Peace since 1981
◆現在一緒に仕事をしたいプロデューサーとかはいますか?
土屋:う〜ん……ああ、もしかしたらまたアレックス・サドキンと一緒に仕事をするかも知れない。これはかなり現実に近い話です。あと一緒にやってみたいプロデューサー特にってのは……エンジニアとしてなら"Rice Music"のときにやってもらったスティーブ・ナイワンとはまた近いうちに一緒にやりたいですね。あの人はエンジニアとしては超一流だし、人間もすごくいいし。

◆ところで今回モッズの森山さんのシングルをプロデュースされてますね。近日中に発売されるというアルバムのほうもやはり?
土屋:ええ。

◆以前モッズの"Look out"と"Gang Rocker"の2枚のアルバムのプロデュースをされたワケですが、やはりそのときと比べてあらゆる面において状況が違うでしょうね?
土屋:あの頃の彼らっていうのはまだ方法論がつかめてなかったみたいだけど、今の彼らはもうみんなどうやればどういう音になるのかってことがわかったようで、今度の"Blue"なんかほとんどバンドだけでやってたし。森ヤンの場合、もしソロを出すようなことがあったら一緒にやってくれ、って話が、いつ頃だったかな、あって。この間久振りに一緒に飲んだらすごいカッコイイこと言うんですよね、森ヤンが。「もう俺はロックン・ローラーだって自分で言いたくないし、そう呼ばれたくもない」。じゃあどう呼ばれたいんだ?って尋ねると、「俺はやっぱりミュージシャンって呼ばれるのが一番気持ちいい」。すごいステップだなって思った。今やっぱり「ロックンローラー」という言葉がなんかかくれみのみたいになっちゃってるでしょ?そういう人達がすごく多くて、だから森ヤンみたいに真剣にやってきた人達にとっては、非常にこう、迷惑なんでしょうね。そういう人達と同じ次元に見られちゃうワケだから。で、まあ今回のソロ・シングルは一応ああいうキャンペーン・ソングのカタチをとったわけだけど、森ヤン自身はそんなことにこだわる様子もないしやっぱり森ヤンの歌がいいって言われて、なおかつ売れるってことを考えて、そんなスタイルをとったワケです。……いやあ、やっぱりデビュー当時から比べると格段の進歩をしましたね、森ヤンに限らずメンバー全員。


◆再び土屋さんのことに戻りますが、70年代後半「大橋純子と美濃屋セントラル・ステーション」ですごく摩訶不思議な音でギターを弾きまくっていたときに比べて、今あんまりギタリストとしてのアイデンティティ(自覚)はどのくらいありますか?
土屋:すごく高くなってきてるんですよ、最近。

◆「すみれSeptember Love」のギター・ソロにはさすがギタリスト土屋を感じましたが。
土屋:今はホラ、勘違い?してたくさん音並べてガシャガシャ弾く人が多いでしょ。ああいうのがちょっと静まってからトドメを見せてあげよう(笑)なんて。技術じゃないんですよね。例えばその技術じゃないところで僕が仮りに弾いたとしても、技術を面白がる今の傾向の中ではそういうふうに見られてしまうワケで、あんまり面白くない。さっきのも森ヤンのロックンローラーの話と似てるけど。ギターってすごく深い楽器だと思うし、将来再びベーシックな部分が見直される時期が来ると思うのね、その兆候みたいなところで森園(勝敏)くんとか(鈴木)茂さんが、本質的なギター・プレイを追求したソロとか出してる。テクニックってのは訓練で結果が出ちゃう。そうじゃなくて、ほとんど運命的というか、ギター弾くために生まれてきたような人っているでしょ、例えばエリック・クラプトンだとか。そういうのって絶対いい。

◆ジェフ・ベックとか……。
土屋:そういやニュー・ヨークのスタジオで一本のカセット聴かされて、まだ歌とか入ってない段階のね。そしたらすごいカッコイイギターなワケ。「うひゃあ、こんなギター弾く奴いるの?ニュー・ヨークってすごいなあ」って感心してたら「それ、ベックの新作だよ」だって(笑)。すごいハズだよ(笑)。……という感じで、いままたギターがとても好きになってきてて、古いジャズ・マスターを見つけて来て弾いたりなんかしてるんです。

◆気になるギタリストなんかは?
土屋:ブライアン・フェリーの"Boys & Girls"に入ってるマーク・ノップラー(ダイアー・ストレイツ)のギターなんかいいですね。それで今、ギタリストをああいうふうに使えるミュージシャンてのも少ないんですよ。ギターってどうもサウンドをハデにする楽器だと思われてる傾向がありますよね、特に今。



 このあと話題はトーキング・ヘッズの新作について、デビット・バーンと焼魚を食べた話、果てはお地蔵さん(!)から冷麦の話までに及んだ。次々と予想もしなかった話をする土屋昌巳。実にジェントルな人だ。ツアーなどについては未定ということだけど、近いうちにまた博多で彼のステージ――――出来ればギターを弾きまくる――――を観たいもん








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<原本発行 1985年10月20日/復刻初版 1999年3月13日/改訂三版 2004年3月30日>
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