the hakata rock & photo magazine BEATMAKS #28
A-SIGN DAYS
- ARB 石橋 凌 interview -
From HAKATA with Love & Peace since 1981
 ARBは不思議な事に日本のシーンの中で何処か煙たがられているバンドである。最近複数車両編成になって定員が大幅に増員したものの、一駅毎に新人が次々に乗車してくる(中には一区間で降りる人もいる)為に満員状態が続くロック・トレインの中で10年間も経ち続けてきた事が原因なのだろうか?
 某レコード会社に勤めている友人によるとCD化による旧譜の好調なセールスで一息ついている感じはあるものの基本的にレコードは昔程売れていないのだそうだ。そういえば最近100万枚を越えるヒットを見た事がない。それに比べてバンドがコンサートで動員する客の数は驚く程増えている。慣れとは恐ろしいものでデビュー後1年や2年で武道館なんて珍しくなくなってしまった。いわゆる日本のロックのブームの一面である。
 これは今までレコードや録音物で楽しんでいたロック・ファンがよりダイレクトな刺激を求めた結果かもしれないし、ひょっとしたらバレンタインデーと同じく蔭の仕掛け人がそう仕向けたのかもしれない。いずれにせよバンドの数は増え、コンサートの数は増え、同時にその質は低下した。(これもまた日本のロック・ブームの一面だ)何故ならライブはレコード程緻密で正確な演奏は要求されないからである。要するに急激にマーケットは広がったが供給が需要に追い付かないのだ。これが5年後10年後どういう結果を生むか予想出来ないけれど、現在日本のロックが大きな転換期に来ている事は間違いないようだ。
 正確にロックが日本に伝来してきたのが何時かは解らないけれど、写真をコピーすると細かい陰影が消えてしまう様に何処かで日本のロックは大きく歪んでしまったのではなかろうか。現在やっとその呪縛から逃れつつあるが、その代償に本当に日本のろっく(欧米のロックとは別物という意味です)になってしまったのかもしれない。
 最初の話に戻ろう。ARBが何故煙たがられるのか。それは彼等の音楽が体制=大勢の意のままにならない旺盛な批評精神を持っているからだ。何時の間にか体制側に引き寄せられ、単なる金儲けの一手段になりつつあるロック・ミュージックとは一線を画すスピリッツがあるからだ。それこそロックが本来持っていた力であり命でありエネルギーではないだろうか。現在の世界の方がよっぽどアグレッシブでセックス&ドラッグしてるし、中森明菜のレコードを聴いてもギターにはちゃんとディストーションがかかっている。もはや音楽形式だけでは何も語れない時代になってしまったから余計そう思うのだ。

ARB at福岡市民会館(89.4.5)●まずARBの近況から聞かせて下さい。
昨年10月にバンド結成10年を記念するコンサートを武道館でやりまして、それがレコードとCDとビデオになって(今年2月にLove the Liveというタイトルでビクター・インビテーションより発売)現在そのツアーで全国回っている所です。ツアーのファイナルには代々木体育館というでかい所で6月1日にやります。その後は夏場にレコーディングを予定しています。

●代々木コンサートのタイトルが大会場中毒(Big Hall Poisoning)になっていますが武道館でやってみて大きなホールの魅力に取りつかれたんですか?
 それもありますが、半分は皮肉ですよ。キャパシティを追い求める事が日本のロック・ミュージックになっているでしょう。それに対するアンチテーゼです。しかしそれをウジウジ言っていてもしょうがない訳で、やらないとしょうがないと思うんです。今回僕等が代々木でやると打ち出したら回りから無謀だという声が上がってますけれど。

●武道館やってしまったからには次の目標が必要だったという事ですか?
 いや、別に何処でも良かったんですよ。ただ今回武道館のコンサートを仕切ってくれたホットスタッフというイベンターの社長さんがコンサートの終った後楽屋で「次は代々木でやろう」と言ってきたんです。いきなりだったしその時は僕も流石に「あまりにも無謀じゃないですか」と言ったんですが….。実は武道館も結構心配したんですよ。しかし蓋を開けたらビッシリ入ってくれて盛り上がったからね。ARBみたいなバンドがああいう所でやる事に対してお客さんの中にも支持してくれる人がいる事が分かったから。

●という事は自分の中でも武道館のコンサートは納得出来るものだったんですか?
 そうですね。あまり力まなかったし。あまり濡れたくなかったから。10年やってきたからどうのこうのと言ってもねえ….。










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<原本発行 1989年6月20日/復刻初版 2000年2月6日/改訂三版 2004年3月31日>
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